(兄)(株)北毛久呂保工場長|狩野正充さん
(弟)こんにゃく芋農家|狩野和紀さん
株式会社 北毛久呂保
群馬県利根郡昭和村橡久保588
0278-24-1101
こんにゃく芋の生産量全国トップの群馬県の中でもNo.1を誇る昭和村で、加工業の兄と生産農家の弟で力を合わせてこんにゃく作りに取り組む狩野兄弟。
兄の正充さんが工場長を務める(株)北毛久呂保は、練り屋(こんにゃく加工製造業)として昭和51年に創業。「コシがあるのに柔らかく、なめらかな食感」を追求し、創業者の会長自ら設計した機械と職人の感覚を大切にした昔ながらの製法を貫く。アイディアマンの社長によるオリジナル商品の開発力も高く、板こんにゃくやしらたきの他にも、豆腐こんにゃく、湯葉こんにゃく、ジャーキーやスイーツなど全24種類の商品を展開する。
弟の和紀さんは、家業のこんにゃく芋農家を継ぐ二代目。2019年は、群馬県こんにゃく研究会が主催する「第45回群馬県こんにゃく立毛共進会」において、優秀賞の農林水産大臣賞を受賞するなど、高品質な芋の生産力が高い評価を得ている。
こんにゃくは、通常の農産物とは異なり、農家と製粉屋、そして弊社のような練り屋(加工業)を経てようやく消費者の元へ届きます。私たち北毛久呂保では、農家が丹精込めて育てたこんにゃく芋を商品化する加工業者として「農家の思いを裏切るような製品を作ってはいけない」という創業者の教えを何よりも大切に、日々製造に取り組んでいます。
こだわりは、コシがあるけどなめらかで柔らかい、従来のこんにゃくのイメージを覆す商品作り。このこだわりの食感を生むためには、粉と水を配合して糊を練る際の水温と時間が鍵となるため、あえて職人の感覚と手作業を大切にした昔ながらのやり方を貫いています。そのため量産が難しく小ロットでの生産となりますが、生産性よりも技術力や開発力で勝負し、本来のおいしさでファンを獲得してきたのが弊社の強みでもあります。
最近では、次世代のこんにゃく作りとしてオリジナリティあふれる新商品の開発にも力を注ぎ、新機械を導入したばかり。現在も社長自ら新商品の開発に取り組んでいます。実は、スライスしたこんにゃくに味を付けて乾燥させたジャーキータイプは40年前から手がけていたのですが、当時は最先端過ぎたのかあまり流行らず。それでも近年のヘルシー志向のブームから評判が広がり、コンソメ味やビーフ味、さくらチップで薫製したものなど、さまざまな種類を展開しています。このジャーキーの乾燥技術と、独自に開発した味の染み込みやすい製造技術を生かし、アイディアマンの社長の発案によるグミのような「フルーツこんにゃく」や、わらびもちのような「琥珀餅」などが誕生しました。普通のこんにゃく製品もいいですが、笑いと驚きのある「昭(笑)和(わっ!)なこんにゃく作り」をコンセプトに、さまざまなバリエーションを展開し、販路を拡大していきたいです。いずれはすき焼き味のこんにゃくを開発しても面白そう。他社ではやらないことにも挑戦していきたいですね。
代々続く実家のこんにゃく芋農家を継承しました。元々は林業やその他農作物なども手がけていましたが、30年ほど前にこんにゃく芋の生産規模を拡大し、今では12ヘクタールの農地を抱える専業農家です。植え替えや収穫のある忙しい時期には兄の手も借りながら、先代と2代で力を合わせて産地を守っています。こんにゃく芋は、春に植えた種を秋に掘り返し、翌年の春にまた植え直すという作業を繰り返し、3年ほどかけてようやく出荷を迎えます。秋から春の植え替えまでは、室温度が管理された貯蔵庫で保管しながら、雨風や病気に弱いこんにゃく芋を自然相手に生育させていく。ここが各農家の腕の見せ所となります。こんにゃく芋がこれだけの時間と手間を費やして生産されているなんて、意外ですよね。
今後は、時代の流れに乗って選別機械などを導入し、作業の省力化を図りながら生産量をさらなる拡大を目指しています。さらに、今では栽培が途絶えてしまった「和玉」と呼ばれる在来種の復活にも取り組んでみたい。そして、それを使って兄が商品化し、昭和村のブランドこんにゃくを全国に売り出したい、そんな兄弟の夢があります。
ものにもよりますが、市販のしらたきは凝固剤の石灰水を多く含む商品も多いため、すき焼きや鍋に使用する際は匂いや汁気を抑えるために軽く湯がいて使うのがオススメ。水気を飛ばした方が麺も締まり、食感も良くなります。ぜひ試してみてほしいアレンジ料理は、油揚げの中にしらたき・しいたけ・肉を詰めて割下でグツグツ煮込んだ、一口すき焼きです。手軽にすき焼きを楽しめるため、自宅でもよく作っています。また、しらたきは炒め物にしてもおいしい。春雨やビーフンの代用品として野菜とともに炒めれば、カロリーも抑えられてヘルシーですよ。
しらたきの場合は、1本1本の細さがポイントです。麺が細いほど、成型する際の目皿の手入れが必要なため、手間暇がかります。あとは、実際に食べてみないとわかりませんが、コシが強ければなおよし。細くてシコシコとした歯触りがあるしらたきほど、高い技術力と丁寧な製法で作られている証拠です。いろいろと食べ比べてみてくださいね。