代表|大澤貴則さん
群馬県甘楽郡下仁田町馬山2303
0274-82-2987
200余年の歴史を誇る下仁田ねぎの名産地・馬山で、代々下仁田ねぎを栽培している専業農家の長男・貴則さんが営む大沢農園。先代から受け継いだ、地元に伝わる伝統農法を守りながら、太くて甘い上質な下仁田ねぎの生産に取り組んでいる。下仁田ねぎのほかにも、年間を通してレタスや白菜、キャベツ、チンゲン菜などの葉物野菜を生産している。
20代の頃は、県内でサラリーマンをしながら、家業の手伝いをする程度で、本格的に農業を始めたのは30代後半になってから。きっかけは地元農家の後継者不足に危機感を抱いたことでした。それも、一度は会社勤めを経験して、地元の特産品である下仁田ねぎの魅力を外から見つめ直すことができたからこそ。「伝統の味を途絶えさせてはいけない」という思いが募り、家業を継ごうと決めました。
はじめは父の畑を借りて小規模からのスタート。めげずに続けていれば周りの人は見ていてくれるもので、3年ほど経った頃に「一生懸命やっているなら、うちの畑も使うかい?」と声をかけてもらえるように。少しずつ農地を拡大して、今では20枚ほどの畑を管理し、年間12万本の下仁田ねぎを生産しています。
下仁田ねぎの栽培期間は、翌年の収穫に向けて9~10月頃に自家採種した種をまくところから始まり、約15か月。大澤農園では、冬越えをした苗を4~5月に仮植え、7~8月に植え替え(本植え)を行い、収穫直前の11月に降りる朝霜で甘みがぐっと高まったところで、12月に解禁を迎えます。
江戸時代から下仁田ねぎの産地として歴史を刻んできた馬山地区では、昔から苗の二度植えという伝統農法が守られてきました。仮植えした苗を一度土から出してねぎにストレスを与えることで生命力を高め、太く強く育てるためです。そうすることで身がしまり、下仁田ねぎ最大の特徴でもある甘みも増します。毎年注文をいただいているお客様からも「味が全然違う」と評判です。
近年では高齢化から二度植えに取り組む農家が減りつつありますが、私自身は伝統農法を次の世代に継承したいという思いがあります。代々受け継がれてきた技と味を守りながら、今後もおいしい下仁田ねぎを作り続けていきたいですね。
すき焼きの際は牛脂をひいた鉄鍋で、ねぎの両面に軽く焦げ目をつけてから割り下を注いで煮込むのがポイント。焼いたねぎの香りが鍋全体にまわり、味に深みが生まれます。旬を迎えると、我が家では毎食さまざまな下仁田ねぎ料理が並ぶのですが、なかでもオススメなのがクリームシチュー。ねぎと鶏肉だけのシンプルなものですが、クリームとは相性がよく子供に大人気です。ほかにも、ぶつ切りにして加熱したねぎを味噌とマヨネーズで和えるだけのホットサラダも手軽にできるのでオススメです。
おいしい下仁田ねぎを見分けるポイントは、緑の葉の部分と白根のどちらも形にあります。葉は長すぎず、ぷっくりと膨らんでいるかどうかを見るといいでしょう。白根は下にかけて丸く膨らみのある、だるま型のものを選ぶのがオススメです。