3)大豆
1. 養分吸収
  大豆は、根粒菌との共生によって空気中の窒素を吸収利用するが、他の養分については、一般の作物と同じように土壌中から吸収利用する。大豆の養分吸収量は、窒素が最も多く、次いでカリ・石灰・リン酸・苦土の順になる。特に、カリ及び石灰の吸収量は、イネ科作物よりもかなり多い。大豆はタンパン質の多い作物の一つで、子実中には約40%を含み、そのタンパク質を構成する窒素の約3分の2は、根粒菌によって固定されたものである。したがって、根粒菌の働きは、大豆の栽培上非常に重要である。 
  大豆の養分吸収は、窒素・リン酸・カリ・石灰・苦土ともに生育初期から開花期頃まで大差なく、継続的に吸収が行われるが、開花期頃から子実の肥大期にわたって急激に増加する。したがって、養分吸収は生育の全期間を通して行われるが、特に生育後期の吸収量が多いので、この点を考慮した土壌の環境づくりが大切である。また生育後期において、土壌の乾燥は大豆への水分の供給を絶つばかりでなく、養分吸収も抑制するので、十分な土壌水分の確保につとめることが大切であり、安定多収栽培技術の要点でもある。
2. 養分の生理作用と施肥
窒素
  窒素吸収量の大半は、根粒菌によって固定されたもので、その利用は発芽後2週間頃から始まる。したがって、それまでの間の窒素は施肥によって補給する必要がある。一般に、窒素として10a当たり3kg程度が適量であるが、転換畑の初年目は、有機物の分解によって土壌の窒素が有効化してくる(乾土効果)ので、極端なやせ地を除いては20〜30%減らし、作付年次が進むにしたがい窒素を増施することが必要である。また、平坦・中間地帯における晩播栽培では、栄養生長期間が短いので、生育初期から高い肥効を期待しなければならないため、速効性窒素を30〜40%程度増施することが大切である。
リン酸
  大豆は、リン酸に敏感な作物で、リン酸吸収能力の大きい作物である。特に、生育初期のリン酸吸収は茎葉の増加に役立ち、開花期までのリン酸は子実の肥大に大きく影響するので、生育全期間にわたり十分吸収できるように心がける必要がある。リン酸の施用量は10a当たり8kg程度であるが、特に黒ボク土の畑土壌では50%程度増施する必要がある。
カリ
  一般に大豆のカリ吸収量は窒素に次いで多いが、根によるカリの吸収能力は弱いので、カリの少ない土壌ではカリ欠乏症の発生がよく見られる。また、苦土肥料などの過剰施用で土壌中の苦土含量の多い場合も、拮抗作用によるカリ欠乏の発生要因となるので、注意が必要である。カリの施用量は10a当たり8s程度が適量である。
土壌改良
  大豆は、一般に土壌の酸性にはやや弱いとされており、他の作物と比べて石灰の吸収量が多い。石灰・苦土肥料施用による酸性の改良は、石灰・苦土成分の補給はもちろん、根粒菌の活動を旺盛にし、窒素の固定作用を助長させるので、土壌改良を常に心がけておく必要がある。施用量は、苦土石灰で10a当たり100kg程度であるが、土壌診断を行って、目標pH6.0〜6.5相当の施用量とすることが必要である。
 なお、転換畑においては、作付年数が経過するにしたがい土壌の酸性化が進むので、土壌診断により苦土・石灰などの補給に心がけることが大切である。しかし、苦土の多量施用はカリ欠乏の要因となるので、必要以上の施用はさけなければならない。
 基肥や土壌改良資材などは、直接種子に触れると肥焼けを起すので、耕うん整地前に全面散布する。
有機物
 有機物施用にあたっては、特に次の点に留意する必要がある。
(ア) 大豆播種前の有機物施用は、タネバエの発生源となるので極力さける。
(イ) 麦+大豆二毛作の場合には、裏作麦を重点に秋期施用する。野菜などの後作に作付する場合にも、前作重点に施用する。
(ウ) 山間・高冷地帯で単作する場合には、少なくとも1か月前に施用するようにつとめる。
(エ) 麦+大豆作において、麦稈をすき込む場合には、基肥の窒素成分を20〜30%増施する必要がある。