1.耕地土壌の診断基準
 安全で、高品質な農産物を生産するためには、土壌診断により常に生産基盤である土壌を適切な状態に管理することが大切である。
 このためには、pH、可給態リン酸、交換性石灰等の養分分析とともに、作土の厚さ、ち密度等の土壌断面調査や聞き取り調査等も加えた、総合的な診断をすることが大切である。
 これまでの土壌診断基凖は水田土壌、畑土壌について設定されていたが、水田でも大豆・野菜等が栽培されていることから、本県の主要な作物を中心に20作物(作目)について物理性と化学性の基準を設定した。
(1) 診断基準の考え方
 耕地土壌の診断基準を設定する場合、その基準が土壌のどの様な状態を基礎として設定されたものであるか、明確にしておく必要がある。すなわち「通常の肥培管理で、正常な収量をあげ得ると考えられる土壌の適正値」を基準とするのか、「通常の肥培管理では、養分の過不足を生じる可能性のある限界値」を基準とするのか、明確にする必要がある。本県における土壌診断基準は通常の肥培管理を前提として、正常な収量を安定的に期待し得る土壌の適正な状態を設定の基礎とした。
 土壌診断基準は、土壌別、作物別、品種別に設定されることが理想的であるが、土壌・肥料分野における試験研究の現状を踏まえ、土壌群および作物群等に大別し、既に提示されている土壌診断基準を基礎に、県内土壌の特性及び最近における調査研究等の知見を加え設定することとした。
 土壌診断基準の範囲については、下限値以下のものについては適正範囲まで改良しなければならないが、上限値は、現状における土壌肥料的技術水準及び土壌改良・施肥等の経済効果を勘案の上設定した。
 また、陽イオン交換容量が明らかでない場合には、表-2の土壌の種類ごとの陽イオン交換容量を基に定めた土壌養分の適正範囲により、診断結果の判定をする。しかし、各養分が適正範囲以下であっても、pHが適正範囲内であれば資材施用を控えることが望ましい。なお、各塩基の飽和度から塩基の量を求めるには次の式による。
陽イオン交換容量(me)×塩基飽和度(%)÷100×塩基のmg当量値=塩基の量(mg)
塩基のmg当量値 石灰(CaO) 28
苦土(MgO) 20
カリ(KO) 47
(2) 診断基準
1) 一般耕地土壌
 水稲、麦、大豆、露地野菜及び樹園地等の診断基準は表-3~22のとおりである。このうち、リン酸については移動性に乏しいこと、産地化等で富化傾向にあることから表-1-(1)の主要露地野菜等のリン酸診断基準、表-1-(2)の淡色黒ボク土におけるリン酸適量を参考に不必要な施用は控える。
2) 施設土壌
 施設野菜栽培土壌の診断基準は表-7~10のとおりである。施設栽培は閉鎖系の特殊環境下で、極めて濃密な肥培管理が行われているため、残存養分の集積傾向がみられ、一般的な基準で判断することは適当でない。
 このような状況を踏まえ、主要な野菜については関係農業改良普及センターの協力を得て、施設土壌の養分実態を調査し、収量との関連性を解析した結果を基に、長期間高位安定生産が期待できる適量値を求めた。可給態リン酸についても陽イオン交換容量で区分したが、これは、施設土壌の塩基、リン酸の集積が陽イオン交換容量の増大に関与しているので、ここでは塩基に準じて適正範囲を設定した。なお、pH、電気伝導率については一律とした。
水稲(表-3) 麦類(表-4) 大豆(表-5) コンニャク(表-6) 施設キュウリ(表-7)
施設トマト(表-8) 施設ナス(表-9) 施設イチゴ(表-10) 葉茎菜・果菜類(表-11) 根菜類(表-12)
リンゴ(表-13) ナシ(表-14) ブドウ(表-15) ウメ(表-16) 花き(露地)(表-17)
シクラメン(表-18) バラ(施設)(表-19) キク(施設)(表-20) 飼料作物(表-21) 桑(表-22)