2.本県耕地土壌の実態と改善対策
 県内に分布する農耕地は、水田・畑あわせて約81,700ha(農林水産統計(平成9年))で、このうち、水田は約30,900ha、畑及び樹園地は約50,800haである。地力保全基本調査(昭和34~53年)における農耕地の土壌群分布は表-1のとおりで、水田土壌では、灰色低地土(約50%)、グライ土(約22%)、多湿黒ボク土(約16%)及び褐色低地土(約11%)が主体であり、畑及び樹園地土壌では、黒ボク土(約82%)、褐色低地土(約12%)及び褐色森林土(約6%)が主体である。
 なお、それぞれの土壌群の特徴を述べると次のとおりである。
(1) 黒ボク土
 黒ボク土は火山山麓、台地上に広くみられ、火山放出物の風化堆積層の上部に暗褐色ないし黒色を呈する非泥炭質の腐植が集積した土壌である。この土壌はりん酸固定力が大きく、養分の保持能力が比較的小さいなどの欠点を持っているが、物理性は良好で、土壌改良によって化学性を改善すれば概ね良好な耕地となる。畑面積の半ば以上を占める主要な土壌である。黒ボク士は腐植層の厚さ、腐植含量の相違によって、4土壌統群に区分され、土壌分類の基本的単位である土壌統として、30土壌統が分布する。
(2) 多湿黒ボク土・黒ボクグライ土
 多湿黒ボク土は全層腐植質で下層が灰色ないし灰褐色か、または黄褐色となるものが多く、かんがい水、地下水などの影響を受けて、作土下に斑紋を含」土嬢である。山麓地、台地の凹地及びその間の谷間などに分布している。黒ボク土の特徴と排水不良土壌の性質をあわせ持っており、主に水田として利用されている。多湿黒ボク土は、土壌断面における腐植層の配列の相違によって4土壌統群に区分され、12土壌統が分布する。
(3) 褐色森林土
 褐色森林土は、山地、丘陵地の斜面及び波状性の台地などにみられる土壌である。表層が黒褐色ないし暗褐色でその下層が黄褐色を呈する土壌であり、下層の土性は粘質の場合が多いが礫質、礫層となっている場合も見られる。この土壌は土性の違いによって、3土壌統群に区分され、7土壌統が分布する。
(4) 褐色低地土
 褐色低地土は、沖積低地に分布するが、灰色低地土やグライ土に比べやや高い地形面に分布し、作土下は黄褐色の土層からなる土壌である。概ね地下水位は低いが、地下水の変動や水田利用によるかんがい水の影響によって、土壌断面中に斑紋や結核のみられる土壌の分布が多い。褐色低地土は、土性、礫層及び斑紋結核の有無等により6土壌統群に区分され、11土壌統が分布する。
(5) 灰色低地土
 灰色低地土はほぼ平坦な沖積低地、谷底平野、扇状地などに分布し、全層が灰色あるいは灰褐色の土層からなるか、表層は灰色または灰褐色の土層からなり、下層が腐植質火山灰層からなるか、あるいは下層が黒泥層からなる土壌である。灰色低地土は土色、土性、斑紋結核、砂礫層、腐植質火山灰層、黒泥層の有無等の相違によって6土壌統群に区分され、13土壌統が分布する。
(6) グライ土
 グライ土は沖積低地、谷底平野などの排水不良地帯に分布する。土地利用は大部分水田で、地下水位が高く、湿田、半湿田である。表層は灰色ないし灰褐色の土層からなり、下層がグライ層になる。グライ層とは、「土壌中の過剰の水分のため空気が欠乏し、還元状態になっている土層」のことで、還元された鉄のために青灰色を呈している。グライ土はグライ層の出現位置、黒泥層、砂礫層等の有無、土性の違いによって5土壌統群、10土壌統が分布する。
 
 図-1では、これらの土壌統群の代表的な断面形態を柱状図で示し、表-2-(1)では水田等、表-2-(2)では畑地及び樹園地について、代表的な土壌統群別に既往の土壌分析結果(平成11~14年)を集計して、一般的化学性の平均値を示した。
 本県における農耕地の土壌統群別に、生産力向上のための改善対策を見ると、水田(表-3-(1))では作土が浅く深耕の必要のあるほ場が多く、次いで透水性の過大な漏水田や土壌改良・施肥改善を必要とするほ場が多い。畑及び樹園地(表-3-(2))では、耕地の傾斜が強いため水食や季節風による風食等の土壌侵食を受けやすく、防風林、グリーンベルト、排水路等の設置が必要なほ場が多く、次いで土壌が乾燥しやすいため畑地かんがいを必要とするほ場、土壌改良資材の投入による土壌・土層の改善を必要とするほ場等多い。
 なお、近年は土地改良事業の進捗に伴い、排水路等の整備により水田の排水不良のほ場が減少し、生産性の改善もみられるが、一方、水田及び畑地におけるほ場区画の拡大化に伴い、大型機械による作業が増加し、踏圧による圧密化、物理性の悪化からの生育阻害も目立ってきている。