果樹雹害追跡写真集

ひょう害写真集利用の手引き

 ひょう害は、本県の果樹栽培の中で最も多い気象災害であり、被害の大小の差はあるが毎年、県内どこかの地域で被害が発生している。ひょうは積乱雲による雷雨に伴って降ることが多く、被害の発生は果実の幼果期から肥大期にあたる5月から7月に集中しているが、年によっては4月の開花期や9月の収穫期にも見られる。
 この写真集では、リンゴ、ナシ、モモに対する5月下旬の降ひょう直後の果実の状況とその後の経過を被害程度別に掲載した。降ひょうの被害は対象作物、降ひょう時期、降ひょう程度により異なるので、対応に際しては写真と事前・事後の対策及び参考文献等を活用願いたい。

果樹雹害追跡写真集(りんご)
果樹雹害追跡写真集(赤なし)
果樹雹害追跡写真集(青なし)
果樹雹害追跡写真集(もも)
果樹雹害追跡写真集(うめ)
果樹雹害追跡写真集(プラム)

ひょう害対策資料と参考文献

降ひょう事後対策
 降ひょうによる被害は、降ひょうの大きさや量、時間、作物の生育時期によって花器の被害、果実の打撲・裂傷・落果、葉の裂損・落葉、枝の損傷など被害位置、程度が異なるので状況におうじた対策を講じる。
降ひょうの被害を受けたら直ちに、適用のある殺菌剤を散布し、傷口からの病原菌の侵入を防ぐようにする。
被害果実の摘果等は2~3日様子を見て、全体の被害の状況がはっきりしてから行う。

時期別の被害程度と対策
 開花期の降ひょうによる軽い損傷でも、ナシやリンゴの事例では、果実が肥大すると傷跡が残ってサビ果や凹果になるので、摘果時によく選別して摘果する。

 幼果期での葉の損傷が少なく、果実を中心とする被害の場合は、被害果を摘果時期に摘果するが、その際、被害程度が軽い果実は残し、適正着果量を確保するようにする。被害程度がひどい場合には葉の被害程度によって果実数の制限を行う。6月上旬のナシの降ひょう事例から見ると、葉の被害程度が大きいほど収穫果に占める健全果の割合は少なく、翌年の花芽の着生数も少なくなる。葉の裂損程度が50%を越えると影響が大きく、75%以上を越えると収穫は殆ど見込まれず、翌年の花芽の着生も平年の2~3割となる。

 摘果終了期以降の被害では裂傷を受けた果実は摘果するが、軽い傷害果は樹のバランスを保つために着果させ無理な摘果を行わない。被害がひどく、葉も大部分欠落し、果実も収穫が見込めないような場合には果実を全摘果し、翌年の花芽の着生を確保するようにする。枝や幹への被害がひどく、傷口が多い場合には樹幹塗布剤を塗る。

 ブドウで裂開や大きな打ち傷を受けた果粒は種子の飛び出し、奇形果、打ち傷果となるので摘粒する。ブドウでは6月中旬頃までであれば、果房や葉が殆ど欠落してしまったような激甚な被害でも、新梢を2芽残してせん定し、再発芽させ伸長をはかれば翌年の結果母枝として利用が可能である。

 収穫直前のひょう害で果実に裂傷が生じると、糖度の上昇に伴って腐敗果となりやすく、ハチやヤガの被害にも見舞われるので注意する。

 キウイフルーツでの9月以降の被害では、落葉率が70%以上になると、翌年の結果枝の側花の着生率が低下し、落葉率 100%の園では、結果枝に花蕾が全く着生しない事例があった。

【参考文献】

  1. 文室政彦・村田隆一・河合文浩 1991.カキ及びブドウの結実に及ぼす降雹の影響.滋賀県農業試験場研究報告 第32号 53ー63.
  2. 群馬県農業技術課 1995.キウイフルーツのひょう害と事後の生育.群馬の普及 第234号.
  3. 群馬県農業技術課 1998.ブドウの雹害時の新梢切り戻し処理の効果.群馬の普及 第249号. 
  4. 群馬県農業試験場 1959.りんごに対する雹害調査報告書.
  5. 村岡邦三・三好恒和・星川三郎・松波達也・佐藤三郎 1986.果樹のひょう害と事後対策.群馬農業研究 D園芸 第2号 6ー22.
  6. 農政部農業技術課 1969.雹害後のウメ樹の生育状況と事後対策に関する調査.
  7. 関本美知・長門壽男・一鍬田済・加藤修 1998.ひょう害ニホンナシ園における樹勢回復の追跡調査.千葉県農業試験場研究報告 第39号 27ー38.
  8. 鈴木宏・久米靖穂・田口辰雄 秋田県におけるリンゴのひょう害調査.秋田県果樹試験場研究報告 第8号 63ー89.

降ひょう事前対策
 ひょう害の防止対策としては、果樹園全体を網で覆う方法が最も効果的である。網の防ひょう効果としては網目10mm以内のものを展張すると、作物に直接当たる量や速度が減少し、被害を軽減することができる。併せて、防虫・防鳥などの多目的な効果を期待できる。
 防ひょう効果のみを高めようとするならば透明寒冷紗(網目1.25mm)が最も有効である。その際、ひょうが網の上にたまるとひょうの重さにより網が裂けたり、棚が倒壊することがあるので、架設棚はしっかりとした強度のものとする。

【参考文献】

  1. 星川三郎・三好恒和・村岡邦三・川口松男 1982.果樹鳥害防止について.群馬園芸試験場報告 10:30-50.
  2. 神奈川県園芸試験場ほか5県 1982.ナシの鳥害防止ならびに夜蛾防止法に関する試験.総合助成試験研究報告書 45ー58.
  3. 金子友昭 1982.防ヒョウ網によるナシ園のひょう害防止.農業及び園芸 57:1151-1156.