5.おでい肥料と土壌の重金属
(1)おでい肥料の施用基準例
 農用地におけるおでい等有機質資材の施用にあたっては、1.有機物の効果と分解性、2.窒素の肥効、3.リン酸の効果と土壌への蓄積、4.おでい中の重金属の土壌蓄積、5.石灰処理おでいの土壌反応に及ぼす影響等の諸要因を考慮し、本県として施用適量の目安を暫定的に策定し、現場での指導に供してきた。
 しかし、昭和59年11月に、環境庁より再生有機物資材利用に伴う土壌管理基準(土壌中の亜鉛濃度の上限を120ppmとする)が示されたことから、おでい等有機質資材を利用する場合に、土壌中の亜鉛濃度を総量規制する考え方で、施用量等の基準を策定する必要が生じた。そこで、県内農用地土壌の最近の重金属濃度の実態(平成11〜14年度定点調査結果)から、今後許容できるおでい肥料施用量を以下のように算定した。すなわち、土壌中の全量亜鉛濃度の上限値を土壌管理基準120ppmとして、今後25年間に施用できるおでい等の総量を算出すると、下記のとおりである。
 
〔計算にあたっての基礎統計量〕
県内農用地の亜鉛濃度 86ppm
おでい(コンポスト)等の亜鉛濃度 600ppm
作土15cm(仮比重1)
今後の許容濃度 34ppm
〔計算例(Xは施用量)〕
X(t)×600(g/t)
0.15×1000(m)×1(t/m)
=34g/t X=8.5t
 
 亜鉛濃度を土壌管理基準120ppmで規制すると、亜鉛濃度86ppmの土壌では、今後8.5t(乾物)のおでい等が施用出来ることになる。これを25年間施用すると仮定すれば、1年間の施用量は340kg(乾物)となる。
 なお、計算例に示すように、施用量の制限因子のひとつは土壌中の亜鉛濃度であり、おでい等の再生有機質資材の利活用を図るためには、できるだけ重金属(亜鉛)濃度の低い資材の供給が望ましい。
 表−1に、資材中亜鉛濃度を600ppmとした、地目別おでい肥料施用基準例を示す。
 (表−2 おでい肥料の種類と有害成分の規制事項)
(2)土壌中の重金属の蓄積と規制事項
 県内のコンニャク畑や樹園地の一部では亜鉛・銅の蓄積がみられる。これはかつて多く使用された農薬であるボルドー剤の影響と、豚ぷん堆肥等家畜ふん堆肥の多量施用が主な原因と思われる。
 一方、これら亜鉛・銅過剰土壌はリン酸やカリ成分も過剰であることが多く、コンニャクやチンゲンサイ等に鉄欠乏症状を起こし、問題となっている。
 農用地の土壌中における各種重金属の規制について、表−3に示した。昭和45年に定められた「農用地の土壌の汚染防止等に関する法律」によると、水田では銅125ppm、ヒ素15ppmの規制値が設けられているが、畑には基準がない。また、昭和59年環境庁が暫定的に定めた「農用地における土壌中の重金属等の蓄積防止に係わる管理基準」が、亜鉛120ppmとして設けられている。この基準はあくまでも暫定基準であり、汚染土壌の除去等の法的根拠とはなり得ない。