ライムソワー

 ライムソワーは、主に石灰やようりんなど粉状肥料の施用を目的に開発されたものだが、粒状肥料においても、粉状肥料と比較して遜色がないことから、最近ではトラクター用作業機をはじめ、歩行型トラクター用作業機としても幅広く導入されている。

 

(1) 構造

 ライムソワーの構造は、全幅落下式で、細長いホッパー(肥料箱)、肥料の繰出を均一化するためのアジテータ(欖拌装置)、操出装置、動力を取り出す動力車輪(動力取出装置)、トラクタへの取付装置からなりたっている。

 最近では、小型トラクタ用直装式で動力車輪のないものが多くなっている。構造で最も重要なものは、攪拌装置と繰出装置で、水平軸に羽根車またはスクリューで肥料を押し、排出孔から繰り出されるが、この装置の作用によっては、均一で連続的な繰り出しができない場合があるので、点検には十分に注意をはらう必要がある。

ライムソワ―

 

(2) 繰出量と作業速度の確認

 肥料の繰出量は、開閉板によって調整するようになっているが、肥料によっては流動性が異なるので、肥料の特性をまず理解する必要がある。次に、開閉板の開度をいくらに開ければ、いくらの量が出るかあらかじめ確認しておく必要がある。

 例えばライムソワーの作用幅が2mのもので作業をするならば、500mを走行すると10aの面積を作業したことになる。そこで、石灰を100kg施用すれば、1m当り200gを散布すればよいことになる。ライムソワーが1mを走る間に200g施用するには、開度をいくらにしたらよいかになるので、繰り出し量を確認しておけば作業速度が異なっても正確に施用できる。

 しかし、前述したように繰出装置がPTO軸から動力を取るものは、PTO動力を入れて開放すると、その場で肥料が繰り出されるので、作業時間に関係するため、作業速度も考慮する。なお、作業速度は次式で得られる。

 

(3) 作業方法

 施肥機は均一でしかも能率的に作業ができるが、オぺレターの単独作業では肥料の補給に時間がかかり、能率が低下するので、2~3人の組作業が望ましい。作業方法には、往復施用と連続施用がある。

 往復施用は、ライムソワーのタイヤ跡やマーカー等を目印に作業すれば、施用幅が一定となり、全幅いっぱいの均一施用ができるが、旋回時間がややかかる難点がある。また、1行程おきに施用する連続施用は、作業速度を変えることなく、一定の作業速度で施用できて能率的であるが、オペレーターの技術によっては、重複施用になる場合もある。しかし、機械化組合などでは、一定期間内に負担面積を稼動しなければならないのでこの方法がよい。

 

(4) その他注意事項

 朝露のある時、曇天日で湿度の高い時に作業を行なうと、肥料が湿気を吸収して性状が変化し、ホッパー内で疑固してブリッジ現象を起すために施用むらを生じるので、取り扱いには注意をする。