マニュアスプレッダは、たい肥などの有機物をほ場に全面散布する機械である。この機械の種類は多く、自走式、直装式、けん引式の3方式があり、作業能率が高いことから利用範囲も広く、機械利用集団など、多くの農家に利用されている。
(1) 構造
マニュアスプレッダの散布機構は、たい肥をほぐし、ならすビターと散布ビターを組み合わせたダブルビター構造で、たい肥を細断、破砕し、均一に全面散布をする。
また機種によっては、横軸ビターや縦軸ビターなど散布素材により散布機能を高めるものや、作業条件により部分散布できるものがある。一般的には、トラクターのけん引式で、PTO駆動の機種が多い。
(2) 送出量と作業速度
コンベア上面に積載されたたい肥が、前方から後方に向かって移動し、後端のビターと散布装置で幅2~4mに均一散布される。送出速度は、たい肥の質、散布量、作業速度により調整が異なるため、概ね3~5段の切替え装置を有している。また作業速度は、一般に3~5km/時間である。
(3) 作業方法
たい肥散布作業は、たい肥の積み込み作業、運搬回送作業、ほ場での散布作業からなる。作業の能率は多元的な要素が関係しており、作業条件の違いによって著しく変動するので、十分に考慮する。
(4) その他注意事項
たい肥散布における内容別作業時間の割合は、概ねたい肥の積み込み作業32%、運搬回送作業32%、散布作業29%であり、散布作業そのものよりも、付随的な積み込みや運搬回送に多くの時間を要するので留意する。