土壌の物理性の測定

土壌の物理性の測定

土壌硬度(ち密度)の測定

1)山中式土壌硬度計による方法

 土壌断面調査で硬さを測るときには、一般に山中式硬度計を使う。山中式硬度計は、高さ40mm、底径18mm、頂角12°40′の円錐部と、遊動指標と硬度目盛りのついた円筒形の胴体の中に40mmの縮小に対して正確に8㎏の圧力を示すバネが入っている(図-1)。

土壌硬度計の構造(山中式硬度計)

 土壌断面を垂直かつ平滑に削り、硬度計を水平に持ち円錐部を土壌断面につばが密着するまで確実に押しつける。遊動指標が移動しないように静かに円錐部を引き抜き、硬度目盛(mmまたはkg/cm2) の値を読む。測定は同一層位に対し3回以上反復し、その平均を取る。

 

2)貫入式土壌硬度計による方法

 貫入式土壌硬度計は、円錐頂角30度、底面積(2cm2)及びバネの容量は従来のSR-Ⅱ型土壌抵抗測定器と同様で、貫入抵抗の測定原理は同じである。自記方法は円錐及びロッド(棒)の圧入深に応じて深度糸を巻取り、深度糸と連動した回転ドラム上の記録紙に記入する。円錐の貫入深が90cmの時、ドラムがほぼ一回転する。バネは50kg/50mmを使用し、測定範囲は1.5~25kg/cm2である。

  貫入式土壌硬度計による測定値X(kg/cm2)と山中式土壌硬度計による測定値Y(kg /cm2)の関係は近似的に次の式で示される。

 Y=0.63X-0.04 (表-1 ち密度(山中式硬度計)と貫入抵抗値の関係)

ち密度(山中式硬度計)と貫入抵抗値の関係(栃木農試)

三相分布と仮比重及び粗孔隙の測定

1)原理

 土壌は固相(土壌粒子・腐植等)、液相(土壌水)及び気相(空気)の三相からなる物質で、このうちの固相と液相の容積の和を実容積とよぶ。土壌の三相分布及び仮比重の測定は、100mLの円筒に採取した試料について、ボイルの法則を応用した土壌三相計により実容積を測定する。さらに試料の全重量測定後に、熱乾燥して水分重量を測定することによって三相分布が求められる。

 

2)試料採取

 試料円筒は内径50mm、高さ51mm、内容積100mLの無底の円筒で、両端に蓋がついている。通常は図-2のような構造の採土器に試料円筒をセットし、土壌面に垂直に挿入する。この時、円筒内で試料が圧縮され、土壌の構造が壊れないように注意する。

  円筒の両端にそって土壌をへらで切断し、試料を円筒と共に取り出す。試料の両端面が円筒の両端面と一致するようにへらで整形した後、蓋をして、円筒と蓋の境目を試料が乾燥しないようにビニールテープでシールする。

  土壌がち密で採土器の挿入が困難なときは、図-3のような採土補助器に円筒をさし込み、補助器の頭部を鎚で打圧しながら土壌中に挿入する。スコップで円筒を掘りだし、円筒両端の土壌面をへらで整形する。

  試料数は、通常一つの土層から2~3個採取すれば十分である。土層の分化が明らかでない場合は10cmおきに採土すると便利である。

図2図3

 

3)土壌三相計による測定

 試料円筒を図-4の土壌三相計の試料室にセットし、ハンドルの回転操作により実容積をボリュームゲージから直読する。

土壌三相計

  1. 測定における留意点
    【ア】 平圧コックが開いていることを確認してから試料室に試料を入れ、5秒程度時間をおいてから平圧コックを閉める。
    【イ】 始動点までピストンをもどしてから平圧コックを開け、試料を取り出す。
    【ウ】 ハンドル操作はゆっくり行う。
    【エ】 測定対象物は所定の受皿・アルミ板に乗せてから試料室に入れる。試料円筒の蓋ははずして測定する。
    【オ】 テストピース(60mL)により基準圧力の調整をする。
  2. 全重量及び水分量の測定
    【ア】 実容積(VmL)の測定が終了したら、円筒と共に重量を0.1gまで秤量する。測定値と円筒の重量の差が土壌の全重量(Wg)である。
    【イ】 試料円筒を105℃で48時間以上乾燥(時間をかけて十分に乾燥させないと誤差の原因となる)させた後、0.1gまで秤量する。測定値と円筒の重量の差が乾土重で、全重量と乾土重の差が水分重量(Mg)である。
  3. 測定結果の計算
    測定結果の計算
    土壌三相計が無くとも、100mLの円筒で採取した土壌の全重量(Wg)と、これを105℃で乾燥した乾土重(Sg)と、土壌の真比重(d)から、次の式により固相率、孔隙率を求めることが出来る。真比重はピクノメーターを用いて測定しなくてはならないが、有機質土壌や腐植に富む土壌以外は、便宜的に表-2の値を用いてよい。

     固相率 Sv=S(%)/d
     孔隙率 P(%)=100-Sv

    土壌の真比重

保水性(pF-水分曲線)の測定

 土壌の水分保持特性すなわち保水性は、土壌粒子への水の吸引力とその水分量との関係で、それはまた孔隙の大きさとその容量との関係でもあり、いわゆるpF-水分曲線として表される場合が多い。保水性は土壌水の移動、土壌の物理性、工学性及び植物への水の有効性などの面からみて重要な意義をもっているので、これらの性質が比較的明瞭に変化するいくつかの水分点(水分恒数)または水分領域について検討される場合が多い。ここでは、主として植物に対する水の有効性を考慮して(図-5)、最大容水量(pF0)、ほ場容水量(pF 1.5または1.8)の測定方法について述べる。

図5作物の利用性からみた土壌水分の分類

 なお、これらの測定で100mL円筒に採取した土壌を試料として用いる場合は、図-6に示した一連の行程で物理性の測定を行うことが出来る。pFは土壌の水分保持力で、地下水面と土壌中の任意の箇所との間の毛管作用による水柱高さをhh(cm)とすればpF=log hの関係がある。

図6円筒試料の物理性測定

 

1)pF0の水分率の測定

 pF 0水分率(容量%)は近似的には三相分布の測定で得られる孔隙率で代用する。飽和容水量は理論的には全孔隙量と一致するはずであるが、実際には土壌内に閉塞空気が残っているため飽和容水量の方が少ない。小数点第1位まで表示する。

 pF 0の水分率(%)=孔隙率(%)

 

2)砂柱法によるpF1.5水分率の測定

  1. 原理 
     試料位置からpF 1.5に相当する水柱高の自由水面を持つ、図-7のような装置の砂柱上に、100mの円筒に採取した自然状態の土壌を乗せ、水分平衡状態に達した後の含水量を測定する。自由水面から試料までの高さは31.6cmとなる。
  2. 測定手順
    【ア】 試料円筒の底にろ紙をつけ、砂柱上に垂直に静置する。
    【イ】 自由水面が試料円筒のほぼ中央の高さになるまで水を加え、約1日放置して試料を飽水させる。
    【ウ】 pF 1.5相当に設定した自由水面高まで排水した後、2~3日放置して水分平衡状態にする。
    【エ】 試料円筒からろ紙をはずし、0.1gまで秤量する。
    【オ】 試料円筒を105℃で48時間以上乾燥させた後、0.1gまで秤量する。
    【カ】 エの全重量とオの乾土重量との差が水分率(%)で、小数点以下第1位まで表示する。
    【キ】 pF 1.5の砂柱には0.25mmの篩を通した砂を使用する。pF 1.8の測定は粒度の細かい土柱法により測定可能で、自由水面から試料までの高さは63.1cmとなる。

図7砂柱法の装置

減水深(N型測定器による)

 湛水田におけるかんがい水の降下浸透量の測定は、水田用水量の決定、水稲生育にとっての適正浸透量の把握、さらに落水後の排水状況を知る上で不可欠のものである。降下浸透量の測定には、一筆水田の平均降下浸透量を求める場合と、一筆内の特定地点における降下浸透量を求める場合との二つがあり、それぞれ測定方法が異なる。

 一筆水田の減水深を求めるには、降雨のない日に、水口、水尻を閉じ、フックゲージか物差しを設置して、ある時間内の水位の低下を測定し、一日当たりに換算する。

 水田のある場所における減水深(蒸発散量+降下浸透量)を正確に測定するには、それ用に開発されたN型減水深測定器を用いる。この測定値は畦畔浸透量を含まないから、蒸発散量を差し引けばその場所の降下浸透量が正確に求まる。従って、この値はまた現地における透水性を判別するのに有用なものとなる。

 

1)装置

 図-8のような、ステンレス製の無底浸入枠(24×48cm)、氷のう、フックゲージからなる。

図8N型減水深測定器

 

2)測定法法

  1. 侵入枠を畦畔から1m以上離れたところに、稲2株が入るように設置し、5cm程度埋め込み、氷のう2個と侵入枠にフックゲージを取り付ける。
  2. 氷のうの先端をつまんで持ち上げ、氷のう内の水を完全に枠内にもどし、そのときの水位を測定する。
  3. 一定時間後(普通は24時間)、再び氷のうを持ち上げて、同様に水位を測定する。
  4. 2.と3.の水位差が減水深となる。1日当たりの水位差(mm/日)で表す。

 

3)測定上の注意

  1. 設置した浸入枠にそって大きな水みちがないか良く確かめ、あれば枠の縁の土を指先でならす。
  2. フックゲージの代わりに、枠の上縁の隅を基準点として、モノサシで測ってもよい。
  3. 枠の内外の減水深に大きな差がある場合には、氷のうの調節能力(氷のう2個で水位差2cm程度まで)に限界があるので測定時間を短くする。